デリケートゾーンのトラブル
パンツで隠れる範囲(おしり、陰部、性器)、いわゆる「デリケートゾーン」に起きやすい皮膚のトラブルを解説します。
人に相談しにくい場所のため、患者さんが市販薬を購入しお一人で治療を試みているケースによく遭遇しますが、皮膚科では相談を受けない日はないほど悩んでいる方は多いですよ。
湿疹・皮膚炎
代表的なトラブルが、湿疹・皮膚炎です。
むれたり擦れやすい、陰部周りは皮膚が薄いなどが原因で、デリケートゾーンには湿疹・皮膚炎が起こりやすく、かゆくて搔いているうちに色素沈着・色素脱失や皮膚がごわごわしてくることもあります(苔癬化)。
デリケートゾーンのかゆみや湿疹トラブルは、特に更年期の女性に多く見られます。女性ホルモンのバランスの変化によって皮膚が外的刺激に対して弱くなることが理由の一つです。
感染症
症状は似ていますが、原因がカビによる真菌症やカンジダ症という感染症もあります。
性器ヘルペスといって、陰部や臀部に定期的に痛い水疱ができるウイルス感染症もあります。
年に数回なるなど頻繁に繰り返す場合には、再発抑制療法や PIT(Patient Initiated Therapy)という治療があります。
化膿性汗腺炎
痛いおできのようなものが半年に2回以上繰り返すような場合、化膿性汗腺炎という病気の可能性があります。
おでき・皮膚がん
また、デリケートゾーンには毛が多く、雑菌が繁殖しやすいことから、毛包炎やおでき(粉瘤)ができやすいです。
最後に、忘れてはいけない病気が「外陰部パジェット病」という皮膚がんです。
症状や見た目が湿疹と似ているため、見逃されやすい悪性腫瘍です。
陰部だけでなく、肛門周囲にもできることがありますし、乳房にできることもあります。
POINT・デリケートゾーンの皮膚トラブル、どうぞお気軽にご相談ください。
・市販薬に頼らず、なかなか治らない場合には皮膚科をぜひ受診ください。
ヘルペスについて
帯状疱疹について
化膿性汗腺炎について
外陰部パジェット病(皮膚の悪性腫瘍)について※外部リンク(がん研有明病院の解説ページ)