髪の毛が抜ける病気には種類がある
頭髪が抜ける代表的な病気には、円形脱毛症、男性型脱毛・女性型脱毛(いわゆる薄毛)、休止期脱毛・成長期脱毛、機械的脱毛症、抜毛症(トリコチロマニア)があります。
頻度は少ないですが、瘢痕性脱毛症や先天性の脱毛症もあります。
円形脱毛症
多くが、頭髪の一部がまるく抜けますが、数か所抜けたり、抜けた場所がお互いにくっついて広範囲の脱毛を形成したり、また、頭髪以外にも眉毛や睫毛、体毛などが一緒に抜けることもあります。
円形脱毛症は自分自身の毛根が何らかの原因で攻撃されることで毛が伸びなくなったり抜けてしまったりする自己免疫疾患で、子供を含めた誰もがかかる可能性があります。一番大事なことは早期治療です。自分自身で症状に気づくことは難しく、美容師さんなどから指摘されて判明することもありますが、症状に気づいたらなるべく早く治療を開始することがとても大事です。円形脱毛症は原因がはっきりわかっていない疾患ですが、精神的・肉体的ストレス、環境変化によるストレスなどが悪化因子になることはよく知られていますし、多くの患者さんを診察してきてそういった背景が存在するケースを少なからず経験しています。どうか一人で悩まず、ご相談ください。
男性型脱毛症
男性型脱毛(androgenetic alopecia; AGA)は、男性ホルモンと遺伝が関連した、男性では最も多くみられる脱毛症です。髪の毛の抜け方にはパターンがあり、特に頭頂部と前頭部(生え際)に症状がみられます。当院では、内服薬や頭皮注射による治療を行っています。
女性型脱毛
女性型脱毛(female androgenetic alopecia; FAGA, female pattern hair loss; FPHL)も男性と同様に年齢を重ねるとともにみられる頭皮の脱毛症です。頭頂部を中心とした薄毛がみられたり、毛が細くなることで全体のボリュームが減ったりすることが特徴です。甲状腺疾患や婦人科疾患、貧血などが原因となっていることがあるため、当院ではスクリーニング検査(採血検査)を行った上で、治療をご提案致します。
当院では、内服薬や頭皮注射、サプリメント等の治療を行っています。
休止期脱毛・成長期脱毛
毛が伸びず成長しない「休止期」にあたる毛髪が増えることで、毛が全体的に徐々に抜けていくタイプが「休止期脱毛」です。脱毛が起こる数か月前に、高熱、外科手術、ダイエット、出産など体に大きな負荷がかかったエピソードがあることが多いです。貧血や甲状腺の疾患など内科の病気や、薬剤が原因になることもあります。薬剤が原因の場合はやめると比較的早く生えてきます。
一方で、毛が太く伸びる「成長期」にあたる毛髪が抜けるタイプが「成長期脱毛」です。抗がん剤治療(化学療法)で生じます。太く長い毛が抜けていくため、患者さんはショックが大きいと思いますが、治療が終われば戻る、可逆的な脱毛ですから、脱毛が起きている期間はウィッグやかつらを使用するとよいでしょう。
機械的脱毛症
ポニーテールなどいつも同じ結び方をしている場合など、髪がひっぱられることで生じる脱毛症です。ヘルメットや帽子を長時間かぶるなどの圧迫でも生じます。
抜毛症(トリコチロマニア)
髪を自分自身でくり返しひっぱったり引き抜いたりする行為で生じる脱毛症です。抜くことがやめられない状態にあり、ストレスや心理的な葛藤が背景にあるといわれ、小児~成人にみられます。抜毛症の場合、治療はメンタルへのアプローチが必要となります。