皮膚がんとは?
「皮膚がん」と聞いて身近に感じる方は多くないと思いますが、20年間で症例数は5倍以上に増えています。要因が、高齢化と紫外線暴露です。皮膚がんによる死亡数も年々増加しています。皮膚がんの診断が難しい理由に、見た目が一見するとふつうのホクロや湿疹のようなケースが多いこと(特に早期ほど間違われます)が挙げられます。早期に診断されれば、多くの皮膚がんが、手術で取り除けば済むため、早い段階でみつけることがいかに大切か、その点を強くお伝えしたいです。
メラノーマ
A.4枚の写真、すべてがメラノーマという皮膚がんです。
メラノーマ(悪性黒色腫)は、メラニン色素をつくるメラノサイトという細胞が癌化したものです。いわゆる良性のホクロとは別物で、もともとの良性のホクロがメラノーマに変身するわけではありません(先天性の巨大色素性母斑など特別な例は除きます)。
日本人の場合、足底や足趾にメラノーマができることが多いのですが、全身どこでも生じますし、爪にも、瞼や口唇・口の中にも、どこでも生じます。メラノーマの診断の入り口は、ダーモスコピーという拡大鏡を用いて色素の分布をよくみることで、皮膚科ではその場ですぐできる検査です。
患者さんがご自身でもチェックしやすいポイントがこの5つです(正確には、ダーモスコピーで診察する際に皮膚科医が確認するポイントなのですが、参考に)。
ダーモスコピーの所見で疑われるサインがあった場合、生検や切除で病理検査が行われます。状況により連携医療機関へご紹介となります。
メラノーマ以外の皮膚がん
【基底細胞癌(きていさいぼうがん)】
最も多い皮膚がんです。アメリカでは100人に1人、といわれています。顔の正中にできやすいといわれていますが、全身どこでも生じます。ホクロのように色のついているものが代表的ですが、かなり多彩です。Caucasianでは色がついていないことが多いです。診断にはダーモスコピーが非常に有用です。基底細胞癌は手術できちんと取り切れば通常は転移もなく予後良好です。
【有棘細胞癌(ゆうきょくさいぼうがん)】
モコモコとカリフラワーのように盛り上がることが多く、高齢者の露光部(紫外線にあたりやすい場所)にできやすいです。有棘細胞癌になる一歩手前の病変に、「日光角化症」や「ボーエン病」があり、これらの病変が判明した場合は治療を要します。こちらも、やはりダーモスコピーや病理診断を要します。
当院との連携先
日本赤十字社医療センター
JR東京総合病院
東京大学医学部付属病院
東京逓信病院
虎の門病院
がん研有明病院
私が以前勤務していた病院や、医局関連病院として繋がりのある病院です。
※皮膚がんの場合は、ご紹介先が限定されます。状況によってご相談ください。